軌道エレベータ
	〜宇宙へ架ける橋〜

石原藤夫・金子隆一 共著 裳華房 153頁 1500円 1999/6/30 第2版発行 　未来のバベルの塔？　ジャックと豆の木が実現できるか？ 2002/12/8 スペースシャトルエンデバー号STS-113は、地上の気象条件が悪いため、 何度も帰還が遅れました。打ち上げは天候の良い時に可能ですが、帰還は慎重に しないといけませんね。　 何しろ一旦、De-Orbitすると、エンジンなしで滑空して戻らないといけません。 　スペースシャトルは、耐熱タイルで保護されていて、熱には強いが、雨粒のような粒子 には、弱いとのこと。発射時に、燃料タンクに付いた氷が剥げて、エンジンカバー付近の 耐熱タイルが傷ついた例がある。耐熱タイルは、ちょうど敷石のブロック程度の大きさで 軽くできている。 　NASA-TVを見ていると、何とかして、ケネデースペースセンターに戻そうとしている 様子がわかります。カルフォルニアに下りたら、ジャンボジェットに乗せて、KSCまで 運ばなければなりません。 　 　宇宙までのエレベーターは、ツィオルコフスキー(1857〜1935)も考えていたようです。 赤道上に塔のように、地上から建てていく考えですが、地上のベースは相当大きくなりそうだが、 地上から離れるに従って引力が塔は、細くて済む。と 　でも、地上から延ばしていくのは、事実上不可能です。では、どうすれば出来るか？静止軌道上（35,800Km）では、 地球の引力と遠心力が釣り合った場所です。そこから、地球に向かって、構造物を延ばしていきます。 引力で引かれまするが、地球と反対側にも繰り出して行きます。これをどんどん続けていくと、地上にも達するであろう。 というものです。　実際には、航空機が飛べるあたりまでとし、そこを駅として軌道エレベーターに乗り継ぐというもの。 　…　これなら出来そうです。 ロケットでの往還では、多段ロケットや燃料タンク、補助ブースターを撒き散らして、環境を汚染してしまいます。　 （もっと大きい問題は、発射時の燃料噴射によるもののようです。液体燃料（水素と酸素）では燃焼して水になりますが、 固体燃料（合成ゴム系の原材料）が燃焼すると、有害物質が発生、発射時に大量の冷却水を発射台に撒きますが、 水と反応して塩化水素となり、半径22km内に影響があるそうです。 　これらの方式では、空気のある所まで、ジェット機で行き、そこからエレベーターに乗っていくわけです。Ｇの変化も 少なく地球を見ながら、快適に宇宙ステーションまで行けそうです。物資を大量に運べるかもしれません。 また、宇宙で発電した電気をここで給電すると、イオンエンジンで更に遠くの天体（惑星)までいけるでしょう。 　アーサー・Ｃ・クラークのＳＦ小説、「楽園の泉」、「星ぼしに架ける橋」でもこのアイディアがリアリティーをもって 描かれているそうです。すべて理論的背景があるというので興味深い作品ですね。 　宇宙往還システムとして、部分軌道型リングシステム（PORS）もある。上の軌道エレベーターは、赤道上に建設され なければいけないが、これは、その制約がない。ジェットコースターのようにレールを宇宙に向かって延ばすもの。 　この本は、地球からの脱出速度やラグランジュ点の不思議など、おもしろい。 　参考文献がたくさん紹介されています。ＳＦも現実になるかも知れませんね。 　以下、関連情報？ご参考まで　（このページに戻るには、ブラウザの[戻る]をクリックして下さい。） 　静止衛星「ひまわり」は、ここから地球を観測しています。 　新しい全地球測位システムは、こちら