秋 Ｂ-12-3　590円　　　　新星座巡礼 Ｂ-12-6　686円　　　　冬 Ｂ-12-4　590円「新星座巡礼」

　野尻抱影（1885〜1977）の「新星座巡礼」1957年を底本として、旧仮名遣いを新仮名遣いに改めたもの。
　星座の数は、全天で八十八。西国八十八箇所札所巡りに掛け、日本で見られる約五十星座を月を追って説明している。
　抱影は、「ぼくが亡くなったら、オリオン座に骨をばら撒いてくれ、」と遺言を残す程、オリオン座が好きだった。「オリオン座を中心とする東南の空は、四季を通じて最も雄麗な部分で、初めて星を知る者の賛嘆の焦点である。星座巡礼の第一番札所は、正にここでなければならない。」と言っている。
そして、「頭を挙げるだけで自然と眼に映る天の宝宝図を知らずじまいにすることは、人間の享け得る幸福をむざむざと捨てることだ。」とも言っています。

　そう言えば、私も初めて知ったのは、この星座。冬になると、子供心に鼓のように並んだ星はなんだろうなと思っていた。　それが、オリオン座と知ったのは小学校に入ってからだ。
中学になって、クラブに入り、初めて望遠鏡でオリオン大星雲や、月、土星、木星を覗いた。
　秋から冬にかけて、ほとんど毎週末、自転車で中学校まで行った。宿直の用務員さんが心配してついてくれていて、夜８時までの約束で一緒に観望していました。終わったら、「冷えた体を暖めるため、こたつに入って行け。」と言われ、みかんをもらって食べたのが懐かしく思い出される。

　野尻抱影の本は、1957年に書かれています。
この年、1957年は、ソ連が人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した年でもあり、国際地球観測年で、西堀栄三郎さんが南極に昭和基地を作った年でもあります。少年の私にとっては、毎日、わくわくする日々でした。
野尻さんの本は、持っていたのですが、どこかへいっちゃいました。久しぶりに手にしましたが、今、読んでも新鮮に感じます。星や星座の和名は、良いですね。
文庫本なのでポケットに入れて、好きなところから読めます。そのうち、［春］、［夏］も出てくるでしょう。